このヒースの花は、フランス南西端の「ラ岬」に咲いていたものです。
荒れ地にしか生育しないといわれているヒースの花は、美しく咲く花の向こう側にどこか「厳しさ」「哀しさ」が透けて見えるような気がします。
毎年、夏になるとヒースの花が咲き乱れるスコットランドやイングランド北部。この地にも歴史に流されていった哀しい物語がたくさんあります。
なかでも、イングランド支配に反抗し勇敢に戦ったウィリアムス・ウォレス。グレンコーの谷で虐殺されたマクドナルド一族。スコットランド王家の宿命に生きた女王メアリー・スチュアート。皆、最後は壮絶な死を遂げました。
でも、振り返ってみると、ウォレスの生涯は映画「ブレイブ・ハート」に描かれて多くの人に感動を与え、マクドナルドの名は今や世界中に知れ渡っている。そして、女王メアリー・スチュアートは断頭台に送られた後名もない教会に葬られていましたが、後にイングランド王になった息子によってウエスト・ミンスターに移され、歴代の王たちと並んで眠っている。
「これでいいのだ」・・・気の小さい私はこう思って心のケリをつけました。
小説「嵐が丘」の主人公たちが遊んだ野もヒースの咲く荒野でしたね。
復讐の鬼と化したヒースクリフですが、最後はその気持ちも薄れ、食べることも寝ることも忘れてキャサリンの幻を追いかけ、眠るように亡くなっていた・・・・。
ヒースの花を思うといろいろな事が頭をよぎります。